災害のあと、避難所で起きるトラブル。
その中でよく聞く言葉があります。
「なんであんな言い方するの?」
「あの人、怖い人だったんだ…」
でも実際には、
もともと優しかった人ほど、突然強い口調になることがあります。
それは人格が変わったのではありません。
心が壊れないための反応でした。
怒りは「最後」に出る感情

人はつらい時、すぐに泣くわけではありません。
災害時、人の体はまず
生き残るための状態になります。
眠れないのに動ける
疲れを感じない
必死に片付けや手続きを続ける
このとき脳は
「感じること」を後回しにします。
そして限界に近づくと
最初に表に出るのが――
怒りです。
本当は怒っていない

怒鳴る人の中では、
こんな感情が起きています。
怖い
不安
どうしていいかわからない
助けてほしい
でもそれを言葉にできない。
理由は単純です。
災害の場では「弱音」が出しにくいからです。
周りも大変
自分だけつらいと言えない
迷惑をかけたくない
結果、心は別の形で外に出ます。
それが 怒り です。
なぜ避難所でトラブルが増えるのか

避難所では、性格に関係なく
怒る人が増えていきます。
これはモラルの問題ではなく
環境の問題です。
睡眠不足
騒音
匂い
先の見えない不安
家族を守る緊張
人の心が耐えられる量を超えると、
感情は「説明できる形」では出なくなります。
そして一番外に出やすい形が
攻撃的な言葉になります。
見え方が変わる瞬間

怒っている人を見ると、
怖い人に見えます。
けれど視点を変えると、こうなります。
怒っている人=壊れかけている人
そう考えると、
避難所の空気の見え方が変わります。
防災として知っておきたいこと

この知識は、人を我慢するためのものではありません。
むしろ逆です。
「誰でもそうなる」
と知っていると、
自分が限界に近づいた時に気づけます。
イライラが増えた
言葉が強くなった
人にきつく当たった
それは性格ではなく、
休息が必要なサインかもしれません。
まとめ

災害時の怒りは、悪意とは限りません。
心は
悲しみ → 不安 → 助けて
と表現できない時、怒りになります。
優しさが消えたのではなく、
余裕が消えただけ。
避難所の人間関係は
性格ではなく環境で変わります。
そしてそれは、
誰にでも起きることです。
怒りは性格ではなく、流れの途中でした。
災害後の心は一定の順番で変化していきます。
▶ 災害後の心の変化を最初から読む
(壊れる→怒る→回復の順番まとめ)
参考情報
災害時の心理反応(総合)
国立精神・神経医療研究センター|災害時のこころの情報支援センター
https://www.ncnp.go.jp/
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「災害 こころのケア」
「トラウマ反応」
厚生労働省|こころの耳(ストレス・メンタル情報)

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トラウマ反応・回復過程
兵庫県こころのケアセンター(阪神淡路大震災研究機関)
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「知識・資料」→ 災害後の心理反応
WHO 心理的応急処置(Psychological First Aid)

検索:
Psychological First Aid guide for field workers pdf
(※WHOはPDFのURLが頻繁に変わるため)
日本赤十字社|心理的応急処置(PFA)

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心理的応急処置
※本記事は、国立精神・神経医療研究センター・厚生労働省・WHO・日本赤十字社などの災害時心理資料をもとに作成しています。
災害後には怒り・混乱・無感覚などの反応が起こることが知られています。
災害時の心の変化は、怒りだけではありません。
人は一定の順番で余裕を失い、そして回復していきます。

